ためしてガッテン2005年 07月 13日 顎関節症「家庭でできる!あごを大切にするポイント」1. 両側の歯で噛む ⇒ 片側でかみつづけると、かむ側の関節に力が強くかかるため、顎関節症になる場合があります。 口の周りにできるしわを見て、片側だけが深い場合はそちら側でかんでいる可能性が高いと考えられます。 2. かみしめを予防する「腹式呼吸」 研究によると、腹式呼吸をしてストレスを解消すると、かみしめる頻度が10分の1に減少することがわかりました。 3. あごのストレッチ かみしめてしまい、あごの筋肉がこわばった時は、あごのストレッチが効果的です。 舌を上の前歯の裏側に触れさせた状態で、口を大きく開きます。これを6秒間、6回繰り返します。 腹式呼吸を身につける方法 手を胸とお腹において、次のようにします。 * 息を吸うとき:お腹がふくらむことを意識しながら、鼻から息を吸います。 * 息を吐くとき:手でお腹を斜め上に軽く押しながら、口からゆっくり息を吐きます。 顎関節症 ためしてガッテン http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q3/20050713p.html http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q3/20050713.html 顎関節症 ためしてガッテン NHK あごが開かなくなったり関節が痛んだりする顎(がく)関節症。今回調査したら、自覚症状がない人でも半数近くがあご関節に問題を抱える予備軍であることが判明! かむことは脳の老化防止と密接に関係することも分かり、顎関節症はまさに健康の一大事! そこで最新の3次元画像技術を元に、あご関節の特異なメカニズムを徹底研究。そこからわかった、脳を活性化させ、顎関節症を予防する極意を伝授します! 「あご内部の新・臓器!」 物をかむと、脳の血流量が増えます。その理由の1つは、あごの内部にある、心臓の役割をする「静脈叢(じょうみゃくそう)」にありました。 静脈叢は脳と首の静脈の間にある血液がたまる場所で、入り口には心臓と同じように弁があります。かむ運動をすると、筋肉の伸縮によって静脈叢は押しつぶされた状態になって、ポンプの働きをします。脳の血液を首の静脈へ引き出して、脳の血流量を増やすのです。 柔らかい物でも、回数かむことが大切 しかし、かたい物がかめなくなってきたという方々にも朗報! 脳の血流速度の増加率がかむ物によってどれくらい違うかを調べたところ、さきいかをかんだ場合は21%増加しましたが、プリンをかんだ場合でも17%増加していました。やわらかい物をかんでも、脳血流はちゃんと増加するのです。 ※実験中、脳血管の太さは変化しないことは確かめているので、血流速度の増加率は血液量の増加率と同じになる。 成長期にかたい物をかむことは、あごを鍛えるために大切ですが、年を取ってからかたい物をかむと、あごを痛めることがあります。無理をするよりも、食べ慣れた固さのものを回数多くかむことが大切なのです。 顎(がく)関節症チェック! 口を開いたときに指が何本入る? 手軽にできる顎関節症のチェック方法は、「口を無理せず大きく開いたときに、指を縦にして何本入るか」を調べるというものです。正常であれば3~4本入りますが、顎関節症の場合は1~2本しか入りません。 ※あごを痛めないように注意! 無理に大きく開かないでください。また、少しでも痛みを感じるときは開かないでください。 「がく然!あごに異変が…」 顎関節症とはどんな病気なのでしょうか? 患者さんのお話をうかがいました。 * 22歳のUさんの場合 o 朝起きたら引っかかったようになって、指1本分くらいしか口が開かなくなった。 o 指1本分以内なら痛みはない。 o 開かなくなる前は「カックン」という音がしていた。 * 60歳のSさんの場合 o 徐々に痛みが増して、指1本分くらいしか口が開かなくなった。我慢すればもっと開く。 o 開くときもかむときも痛い。 o あごを動かすと「シャリシャリ」「ゴリゴリ」という音がするようになった。 顎関節症の特徴的な症状は「開かない」「痛い」「音がする」 2人に共通する3つの症状「開かない」「痛い」「音がする」は、顎関節症の特徴的な症状です(ただし、必ずしも3つ同時に起こるわけでありません)。 「知られざる あごの実態」 この顎関節症は、いま私達のあごに起こっている、ある異変が大きく関係しています。 自分ではあごが健康だと思っている若者6人を調べたところ、6人中4人のあごに問題があることがわかりました。 実は、わたしたちのあごは、口を大きく開くとき、あごの骨が関節からはずれるようになっています。これは正常です。あご関節の骨と骨の間には「関節円板」という、骨の滑りを良くするものが入っています。このおかげで、あごの骨はスムーズに関節からはずれたり入ったりすることができ、口を大きく開けることができるのです。 あごに問題があるとされた人の場合は、この関節円板が骨と骨の間に入っておらず、骨の前の部分にずれてしまっていました。 “関節円板のずれ”多し! これがカックン&開かないを生む! 関節円板はあごの骨に靱帯によってくっつき、あご関節の骨と骨の間に入っています。関節円板は、若い頃は靱帯が柔らかいので、無理な力や動きが加わるとずれやすい状態になっています。ずれても問題にならない場合も多いのですが、ずれ方次第では、顎関節症の症状を起こすことがあります(Uさんのタイプの顎関節症)。 * 症状: 大きく口を開くと「カックン」と音がする 前にずれた関節円板は多くの場合、口を大きく開くときに関節の骨と骨の間に戻ります。このときに「カックン」という音が出ます。 * 症状: 口が開かない 前にずれた関節円板にあごの骨が引っかかって動けなくなってしまうと、口が大きく開かなくなります。 恐怖!カックン⇒開かない 真犯人は“筋肉のこわばり” 関節円板がずれただけでは、多くの場合は、カックンと鳴ることはあっても、すぐに引っかかって開かなくなることはありません。引っかかって開かなくなる本当の原因は「筋肉のこわばり」です。かむ筋肉がこわばると、あごの動きが悪くなり、ずれた関節円板に引っかかりやすくなってしまうのです。 実は、私達の何気ない普段の生活のなかで、筋肉がこわばるほどの無理な負担をかけてしまうことがあります。それは何でしょうか? 「普段の生活に 負担あり!」 あごに筋電計をつけた状態で1日を過ごしてもらい、どんなときにかむ筋肉を使うのかを調べました。筋電計の波形を見てみると、歯磨き、おしゃべり、カラオケなど、口を動かすだけの作業のときはほとんど筋肉を使っていません。食事の時はかかる力は強いものの、食べ物をかみ砕く一瞬だけです。その一方で、パソコン作業のときは、弱い力が連続的にかかっていました。作業した時間を積算すると、次のようになりました。 「かむ筋肉の仕事量」(単位=μVs) * パソコン作業(2時間): 69480 * 夕食(とんかつ定食): 20044 * 昼食(スパゲティ): 16544 * 朝食(ベーコンエッグなど): 8660 パソコン作業が最もあごの筋肉に負担をかけていました。実際はパソコンが悪いのではなく、ストレスによって「歯と歯をくっつけ続けていた」ことが原因になっていたのです。 あごの負担が骨を変形させる! 関節円板がずれた人が、筋肉がこわばるほどのあごへの負担をかけ続けると、骨が変形してしまう場合があります。これがSさんのタイプの中高年に多い顎関節症です。変形した骨がこすれることで、「シャリシャリ」「ガリガリ」といった音や痛みが出ます。 顎関節症の予防法は「歯と歯をくっつけ続けない」 ゲストも筋電計をつけて確かめた結果、「かみしめる」のはもちろん、「歯と歯をくっつけ続ける」だけでも、あごの筋肉には大きな負担になっていることがわかりました。これがかむ筋肉のこわばりを起こし、顎関節症を引き起こすのです。 関節円板がずれやすい人は、関節の柔らかい人 研究者によると、生まれつき関節が柔らかい人は靱帯も伸びやすいため、関節円板がずれやすいのだそうです。そのような人は、筋肉がこわばったり、骨が変形しないように、あごに無理な負担をかけないことが大切です。 ※一度ずれた関節円板は、戻してもまたずれる場合が多いことと、ずれただけでは生活に支障がないことも多いため、ずれを治す治療はあまり行われていません。 顎関節症の治療は歯科や口腔外科が専門です。歯科医院もしくは大学病院や総合病院の歯科・口腔外科にご相談ください。 |